自宅で測定した血圧(家庭血圧)が正常なのに、病院や健康診断会場で測定した血圧(診察室血圧)が緊張で高くなる現象を「白衣高血圧」(white coat hypertension)と言います。元々高血圧の人がさらに高くなる場合は、「白衣現象」と言います。逆に普段から血圧が高いのに、病院で測ると安定してしまう現象を「仮面高血圧」と言います。たまたまではなく、繰り返し「白衣高血圧」の現象が出る人が「白衣高血圧症」です。
高血圧の基準ですが、世界的に4年ごとに見直しが行なわれており、毎回厳しくなる傾向があります。日本では、日本高血圧学会の定める「高血圧治療ガイドライン2014」が最新の基準になっており、次のとおりです。
診察室血圧 | 家庭血圧 | |
高血圧診断 | 140/90mmHg以上 | 135/85mmHg以上 |
このように、通常は診察室血圧と家庭血圧の差は5mmHgしかありません。家庭血圧は正常なのに、診察室血圧が上がってしまうのが白衣高血圧症です。
なお、2014年に日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が健康な人の受診データを分析し、148/95mmHg未満を新基準値にするとの報道がありましたが、これは健康な人の検査値を出しただけで、予防医学的見地からの目標値とは異なります。繰り返しますが、高血圧の基準は厳しくなる傾向にあるのです。
白衣高血圧症だけで、ほかに異常がない場合は治療の必要性は少ないと言われていますが、白衣高血圧症から治療が必要な「持続性高血圧」に移行する場合もありますので、長期的な経過観察が必要です。早めに降圧剤を服用するケースもあります。
白衣高血圧症という言葉は、現在では広く知られており、健康診断会場で異常値が出ても「私は白衣高血圧症で家庭血圧は正常です」と言えば理解してくれると思いますが、あまりに高い場合は医師への受診を勧められることもあるでしょう。
かかりつけのホームドクターがいる方はよいと思いますが、そうでない方はこの機会に主治医を見つけ、血圧について相談されてはいかがでしょうか。自分が本当に白衣高血圧症なのか調べてもらえますし、他の病気にかかったときも、白衣高血圧症であることをわかった上で診察してくれます。これが初めての病院だと、血圧測定で他の病気が疑われることにもなりかねません(冗談ではなく)。
私も白衣高血圧で悩んでいる一人です。
このサイトの記事を読んで、安心しましたし、とても助けられました。