大きい企業や団体では、大会議室などを使って健康診断を社内で実施すると思います。このとき血圧測定をしているのは誰でしょう。ほとんどの場合、臨床検査技師ではないかと思います。
日本では、「業」として医療行為が出来るのは医師、歯科医師、看護師等の免許を持つ者と法律で定められています。臨床検査技師が「業」として血圧測定するのは医療行為に該当しないのか、この問題は長年グレーゾーンになっていました。驚いたことに、問題なしと確認されたのは最近のことです。
まず、2005年に障害福祉関係者の要望を受け、厚生労働省が次の見解を発表しました。
医療機関以外の高齢者介護・障害者介護の現場等において判断に疑義が生じることの多い行為であって原則として医行為ではないと考えられるものを別紙の通り列挙したので、医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が行うことが適切か否か判断する際の参考とされたい。
(別紙)
2.白動血圧測定器により血圧を測定すること
同時に生活行為と見なされる様々なことも、問題なしとされました。自分自身や家族に行なう場合は「業」になりませんが、介護職員、そして看護師も医師の指示なしで行なってよいかがグレーだったのです。
次に、ここには「高齢者介護・障害者介護の現場等において」とあるため、臨床検査技師が実施可能かどうかを一般社団法人日本臨床衛生検査技師会が厚生労働省に質問し、12年に回答が出ました。
貴見の通りである。
「臨床検査技師による血圧測定について(回答)」
平成24年10月11日医政医発1011第5号 厚生労働省医政局医事課長
(日本臨床衛生検査技師会サイト「臨床検査技師による血圧測定について」より)
本文はこの1行だけ。典型的なお役所文書ですが、こんな簡単なことに丸3年もかかったそうです。採血のような高度な行為が法律で認められているのに、不思議です。
これにより、健康診断で臨床検査技師が堂々と血圧測定出来るようになりました。ただし、認められているのは自動血圧計だけで、水銀血圧計はいまだグレーゾーンです。水銀血圧計を使っている場合は、看護師の可能性が高いと思います。